【図解】さい帯とは?赤ちゃんの命綱の役割と出産後の流れを助産師が解説

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妊娠中、お腹の赤ちゃんとママをつなぐ「さい帯(へその緒)」。赤ちゃんの命綱とも呼ばれる大切な器官ですが、その役割や出産時のこと、産後のケアについて不安や疑問を感じていませんか?さい帯は、赤ちゃんに酸素と栄養を届け、老廃物をママに返し、病気から守る抗体を送るという、命を育むための3つの重要な役割を担っています。この記事では、助産師監修のもと、さい帯の構造から出産時の流れ、産後のへその緒の正しいケア方法、さい帯巻絡などのトラブル、そして未来への贈り物となる「さい帯血」の活用まで、図解を交えて網羅的に解説します。この記事を読めば、さい帯に関する正しい知識が身につき、妊娠中から産後までの不安が解消され、安心して出産に臨めるようになります。

目次

さい帯(へその緒)とは赤ちゃんとママをつなぐ命綱

さい帯(臍帯)とは、一般的に「へその緒」として知られ、妊娠中にお腹の赤ちゃんとママをつなぐ、白くらせん状にねじれた管状の組織です。胎盤を通じてママの体と赤ちゃんの体を結び、赤ちゃんが成長するために必要な酸素や栄養を届け、不要になった老廃物を排出するための非常に重要な役割を担う「命綱」と言えます。このさい帯があるからこそ、赤ちゃんはお腹の中で十月十日という長い期間、すくすくと育つことができるのです。ここでは、赤ちゃんの生命を支えるさい帯の構造や特徴について、詳しく解説していきます。

【図解】さい帯の構造と胎盤とのつながり

さい帯は、赤ちゃんの「おへそ」と、子宮壁に作られる「胎盤」という臓器をつないでいます。その内部は、3本の血管が通っており、それらを保護するゼリー状の組織で満たされています。一見するとただの管のようですが、実は非常に精巧な構造をしています。

構成要素本数主な役割
臍帯静脈(さいたいじょうみゃく)1本胎盤から酸素と栄養を豊富に含んだ血液を赤ちゃんへ送る
臍帯動脈(さいたいどうみゃく)2本赤ちゃんからの二酸化炭素や老廃物を含んだ血液を胎盤へ戻す
ワルトン膠質(こうしつ)血管を保護するゼリー状の組織。クッションの役割を果たす

このように、1本の臍帯静脈がママから赤ちゃんへの供給ライン、2本の臍帯動脈が赤ちゃんからママへの排出ラインとして機能しています。そして、これらの大切な血管が圧迫されたり、ねじれて血流が滞ったりしないように、「ワルトン膠質」という弾力のある組織がクッションとなって守っています。さらに、さい帯全体は「羊膜(ようまく)」という薄い膜で覆われています。

さい帯の長さや太さはどのくらい?

さい帯の長さや太さには個人差がありますが、おおよその目安があります。これらは妊娠週数とともに成長し、出産時には赤ちゃんが産道をスムーズに通るのに十分な長さになります。

項目平均的なサイズ特徴・補足
長さ約50cm〜60cm個人差が大きく、これより短い「短臍帯(たんさいたい)」や長い「長臍帯(ちょうさいたい)」の場合もある。
太さ(直径)約1.5cm〜2.0cm血管を保護するワルトン膠質の量によって太さが変わる。

さい帯には、赤ちゃんが羊水の中で自由に動き回れるように、ある程度の長さが必要です。また、多くのさい帯は自然にねじれ(臍帯捻転)ており、この「らせん構造」が、引っ張りや折れ曲がりに対する強度を高める役割を果たしていると考えられています。この精巧なつくりによって、赤ちゃんがお腹の中で活発に動いても、命綱であるさい帯の血流が簡単には途絶えないようになっているのです。

妊娠中のさい帯が持つ重要な3つの役割

妊娠中のさい帯(へその緒)の3つの役割 ママ (胎盤) 酸素 栄養 抗体(IgG) 赤ちゃん CO2 老廃物 役割1 & 3:届ける O2 栄養 抗体 臍帯静脈(1本) 役割2:送り返す CO2 ゴミ 臍帯動脈(2本) 断面図イメージ 静脈 動脈x2

さい帯は「へその緒」とも呼ばれ、妊娠中のママと赤ちゃんをつなぐ唯一のパイプラインです。見た目はただの管のようですが、お腹の赤ちゃんが健やかに成長するために欠かせない、まさに「命綱」としての重要な役割を担っています。具体的には、大きく分けて3つの大切な働きがあります。ここでは、それぞれの役割について詳しく解説していきます。

役割1 赤ちゃんへ酸素と栄養を届ける

お腹の中の赤ちゃんは、自分で呼吸をしたり食事をしたりすることができません。そのため、成長に必要なすべての酸素と栄養は、ママからさい帯を通じて届けられます。ママの血液は胎盤で赤ちゃんに必要なものだけを選別・交換され、さい帯の中にある「臍帯静脈(さいたいじょうみゃく)」という1本の太い血管を通って、新鮮な酸素と栄養素が豊富な血液が赤ちゃんへと送られます。

この血液には、赤ちゃんの体を作るためのアミノ酸、エネルギー源となるブドウ糖、骨や歯の形成に必要なカルシウムやリンといったミネラル、体の調子を整えるビタミンなど、成長に不可欠な成分がたっぷりと含まれています。ママが摂取した栄養が、胎盤とさい帯を経由して赤ちゃんの成長の糧となるのです。

役割2 赤ちゃんからの老廃物をママへ送る

赤ちゃんは、体内でエネルギーを作り出す過程で、二酸化炭素や尿素といった老廃物を排出します。これらの不要になったものを体外へ排出するのも、さい帯の重要な役割です。さい帯の中には「臍帯動脈(さいたいどうみゃく)」という2本の血管があり、この血管を通って赤ちゃんからの老廃物を含んだ血液が胎盤へと送り返されます。

胎盤に運ばれた老廃物は、そこでママの血液中に移され、最終的にママの肺や腎臓の働きによって体外へ排出されます。このように、さい帯は赤ちゃんにとってのガス交換や排泄の役割も担っており、お腹の中の環境を常に清潔で快適な状態に保っているのです。

血管の種類本数血液の流れ主な役割
臍帯静脈1本ママ(胎盤)→ 赤ちゃん酸素と栄養を赤ちゃんに届ける
臍帯動脈2本赤ちゃん → ママ(胎盤)二酸化炭素や老廃物をママに送る

役割3 ママの抗体を赤ちゃんへ届ける

生まれてすぐの赤ちゃんは、まだ自分自身で十分な免疫力を持っていません。そのため、さまざまな感染症から身を守る仕組みが必要です。さい帯は、妊娠後期になるとママが持つ免疫グロブリンG(IgG)という抗体を赤ちゃんへ届ける役割も果たします。

ママが過去にかかった麻しん(はしか)や風しんなどの感染症に対する抗体が、さい帯を通じて赤ちゃんに移行することで、赤ちゃんは生まれながらにしてそれらの病気に対する抵抗力を持つことができます。このママからの贈り物は「移行抗体」と呼ばれ、生後数ヶ月間の赤ちゃんを感染症から守る大切な盾となります。この免疫は、赤ちゃん自身の免疫システムが発達するまでの間、重要な役割を担ってくれるのです。

出産時のさい帯の処置と流れ

出産時のさい帯(へその緒)処置のポイント 1. 切るタイミング(晩期) 胎盤 赤ちゃん 1〜3分待つことで 血液・鉄分が赤ちゃんへ移行 2. 切断の方法と痛み さい帯(へその緒) クリップ クリップ ここを切る(パパも可能) 痛みは全くありません! さい帯には「知覚神経」が 通っていないため

赤ちゃんがママのお腹から元気に生まれ、産声をあげた感動の瞬間。その次に待っているのが、赤ちゃんとママをつないでいた「さい帯(へその緒)」の処置です。赤ちゃんが自らの肺で呼吸を始めると、さい帯の役目は終わりを迎えます。ここでは、出産時におけるさい帯の処置と、ママやパパが抱きやすい疑問について詳しく解説します。

さい帯を切るタイミングはいつ?

「さい帯は赤ちゃんが生まれたらすぐに切る」というイメージがあるかもしれませんが、実は近年、そのタイミングが見直されています。さい帯を切るタイミングには、大きく分けて2つの方法があります。

種類タイミング特徴
早期臍帯結紮(そうきさいたいけっさつ)生後1分以内従来から行われてきた方法。赤ちゃんをすぐに新生児科医が診察できるメリットがある。
晩期臍帯結紮(ばんきさいたいけっさつ)生後1分以降、またはさい帯の拍動停止後WHO(世界保健機関)も推奨している方法。赤ちゃんに多くの血液が移行するメリットがある。

最近では、特別な理由がない限り「晩期臍帯結紮(遅延臍帯結紮とも呼ばれます)」が推奨される傾向にあります。なぜなら、さい帯をすぐに切らず少し待つことで、胎盤に残っている血液が赤ちゃんに十分に移行するからです。この血液には鉄分が豊富に含まれており、生後数ヶ月間の赤ちゃんの貧血予防につながるなど、多くのメリットがあることがわかっています。

具体的には、さい帯のドクドクという拍動が自然に止まるのを待つか、生後1分から3分程度を目安に切断するのが一般的です。ただし、赤ちゃんの状態やママの健康状態、産院の方針によっては、早期に切断する場合もあります。希望がある場合は、妊娠中にバースプランなどで医師や助産師に相談しておくとよいでしょう。

さい帯を切るときに痛みはあるの?

さい帯を切るというと、なんだか痛そうなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。さい帯の切断時に、赤ちゃんにもママにも痛みはまったくありません。

その理由は、さい帯には痛みを感じるための「知覚神経」が通っていないからです。さい帯は血管とそれを保護するゼリー状の組織でできており、神経は含まれていません。そのため、ハサミで切っても痛みを感じることはないのです。

ママは、さい帯が切られる時点ではまだ胎盤が子宮内にあるため、直接的な感覚はありません。赤ちゃんも同様で、切られたこと自体に気づかないことがほとんどです。ハサミのパチンという音や、処置の感触に驚いて泣き出すことはあるかもしれませんが、それは痛みによるものではないので心配いりません。

さい帯の切断はパパもできる?

はい、多くの産院で、立ち会い出産をするパパがさい帯を切ることができます。これは「さい帯カット」と呼ばれ、パパが出産に主体的に関わる貴重な体験として人気があります。

実際にパパが切る際は、まず医師や助産師がさい帯の2箇所を「鉗子(かんし)」と呼ばれる医療用クリップでしっかりと挟みます。これは、血液が流れ出ないようにするためです。そして、そのクリップとクリップの間を、パパが専用の滅菌されたハサミで切断します。さい帯は、グニグニとした弾力があり、見た目よりも少し硬いゴムのような感触だと言われます。

パパ自身の手で赤ちゃんとママをつないでいた命綱を切るという行為は、父親になった実感を得られ、家族の絆を深める忘れられない思い出になるでしょう。希望する場合は、事前に産院でさい帯カットが可能かどうか、また、追加の費用がかかるかなどを確認しておくことをおすすめします。ただし、帝王切開の場合や、緊急時など母子の安全が最優先される状況では、パパによるさい帯カットができないこともあります。

出産後のさい帯「へその緒」のケア方法

出産という大仕事を終えた後、赤ちゃんのおへそには「へその緒」の一部が残っています。これは、ママのお腹の中にいた頃の命綱であったさい帯の名残です。この乾燥したへその緒が自然に取れるまで、自宅での適切なケアが必要になります。初めての育児で不安に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば大丈夫。ここでは、助産師が推奨する正しいへその緒のケア方法を詳しく解説します。

へその緒が取れるまでの日数の目安

赤ちゃんのおへそに残ったへその緒は、出産後、クリップで留められた部分から徐々に乾燥し、ミイラ化していきます。黒く硬い状態になり、自然にポロリと取れるのが一般的です。へその緒が取れるまでの期間は、生後1〜2週間が目安とされていますが、個人差が非常に大きいです。

早い子では生後5日ほどで、ゆっくりな子では3週間以上かかることもあります。乾燥が進むにつれて根元がグラグラしてきますが、無理に引っ張ったり、ねじったりするのは絶対にやめましょう。自然に剥がれ落ちるのをじっくりと待つことが大切です。

助産師が教える正しい消毒と乾燥のポイント

へその緒のケアで最も重要なのは、細菌感染を防ぐことです。そのためには「消毒」と「乾燥」の2つのポイントを徹底することが求められます。産院で指導された方法を基本に、以下の手順でケアを行いましょう。

ケアのタイミングは、体が清潔になっている沐浴後が最適です。

  1. 準備
    まず、綿棒と消毒液(産院で処方される消毒用エタノールなど)を準備します。手を石鹸でよく洗って清潔にしておきましょう。
  2. 消毒
    綿棒に消毒液をたっぷりと含ませます。赤ちゃんのへその緒を指でそっと持ち上げ、お腹の皮膚との境目である根元部分を、円を描くように優しく消毒します。シワになっている部分にも消毒液がしっかり行き渡るように、丁寧に拭いてください。
  3. 乾燥
    消毒が終わったら、その部分をしっかり乾かします。うちわやティッシュなどで軽くあおいで、水分を飛ばしましょう。へその緒が常に乾燥した状態を保てるよう、おむつや肌着が直接当たらないように工夫することも大切です。おむつの上部を外側に折り返して、おへそを出すようにすると良いでしょう。

このケアを、へその緒が取れるまで1日1〜2回、沐浴後などを目安に続けてください。へその緒が取れた後も、おへそが完全に乾くまでの数日間は消毒を続けるとより安心です。

こんなときは病院へ へその緒のトラブルサイン

毎日のケアで赤ちゃんのへその緒を観察し、もし以下のようなサインが見られた場合は、自己判断せずに速やかにかかりつけの小児科医や出産した産院に相談してください。

注意すべき症状考えられる状態対応
根元から出血が続くおむつ交換のたびに血が付く、ポタポタと血が垂れるなどの場合は注意が必要です。少量がにじむ程度は問題ないことが多いです。ガーゼで数分圧迫しても止まらない場合は、すぐに病院へ連絡しましょう。
おへその周りが赤く腫れている細菌に感染して炎症を起こしている「臍炎(さいえん)」の可能性があります。熱を持っていることもあります。感染が広がると重症化する恐れがあるため、早めに小児科を受診してください。
膿が出ていたり、嫌な臭いがしたりする黄色や緑色の膿が出ていたり、生臭いような普段と違う悪臭がしたりする場合も、臍炎が疑われます。膿や悪臭は明らかな感染のサインです。すぐに医師の診察を受けましょう。
取れた後もじゅくじゅくしているへその緒が取れた後、中心に赤い肉の塊のようなものができ、じゅくじゅくした状態が続くことがあります。これは「臍肉芽腫(さいにくげしゅ)」と呼ばれます。自然に治ることもありますが、大きくなる場合は処置が必要です。1ヶ月健診などで相談しましょう。
生後1ヶ月を過ぎても取れない乾燥が進まず、1ヶ月以上経ってもへその緒が取れない場合、まれに免疫系の病気などが隠れている可能性も考えられます。心配な場合は、1ヶ月健診を待たずに小児科医に相談することをおすすめします。

赤ちゃんのへその緒のトラブルは、早期発見・早期対応が何よりも重要です。少しでも「おかしいな?」と感じたら、ためらわずに専門家のアドバイスを求めましょう。

知っておきたいさい帯のトラブルとリスク

さい帯の主なトラブル図解 さい帯巻絡(さいたいけんらく) 首や体に巻きついている状態 さい帯下垂・前置 赤ちゃんより先に出口へ下がる 圧迫され血流が止まるリスク さい帯の断面構造と単一臍帯動脈 正常なさい帯 静脈 動脈 動脈 動脈が2本ある 単一臍帯動脈 静脈 動脈 ←1本足りない 動脈が1本しかない

赤ちゃんの命綱であるさい帯ですが、妊娠中や分娩時にトラブルが起こる可能性もゼロではありません。多くは妊婦健診の超音波(エコー)検査で発見されたり、分娩時のモニタリングで早期に対応されたりしますが、どのようなリスクがあるのかを知っておくことで、いざというときに落ち着いて対応できます。ここでは、代表的なさい帯のトラブルについて解説します。

さい帯巻絡(さいたいけんらく)

さい帯巻絡とは、さい帯が赤ちゃんの首や体、手足などに巻きついている状態のことです。妊婦健診のエコー検査で指摘され、不安に思う方も多いかもしれません。しかし、さい帯巻絡は全分娩の約20〜30%にみられる比較的頻度の高い現象であり、そのほとんどはゆるく巻きついているだけなので、赤ちゃんの発育や分娩に影響はありません。

ただし、まれに何重にもきつく巻きついてしまったり、分娩の進行とともに強く締め付けられたりすると、さい帯の中の血流が悪くなり、赤ちゃんが低酸素状態に陥るリスクがあります。そのため、分娩中は「胎児心拍数モニタリング」を用いて赤ちゃんの心拍数を継続的に監視し、元気かどうかを常に確認しながら慎重にお産を進めます。異常がみられた場合は、吸引分娩や緊急帝王切開などの医療処置が速やかに行われます。

さい帯下垂・さい帯前置(さいたいかすい・さいたいぜんち)

さい帯下垂とさい帯前置は、いずれも赤ちゃんより先にさい帯が子宮口の近くまで下がってきてしまう状態を指し、緊急性の高いトラブルです。

  • さい帯前置(さいたいぜんち):破水する前に、赤ちゃんの先進部(頭や足など)より先にさい帯が子宮口を塞ぐように位置している状態。
  • さい帯下垂(さいたいかすい):破水した際に、赤ちゃんより先にさい帯が腟内や外陰部まで脱出してしまう状態。

これらの状態になると、赤ちゃんの体と産道との間にさい帯が挟まれて圧迫され、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が急激にストップしてしまう危険性があります。発生頻度は全分娩の0.1〜0.6%と低いものの、赤ちゃんの命に関わる非常に危険な状態のため、診断された場合は一刻を争う対応が必要です。多くの場合、緊急帝王切開での分娩となります。骨盤位(逆子)や多胎妊娠、羊水過多などの場合にリスクが高まることが知られています。

単一臍帯動脈(たんいつさいたいどうみゃく)

通常のさい帯には、ママから赤ちゃんへ酸素と栄養を送る「臍帯静脈」が1本と、赤ちゃんからママへ老廃物を送る「臍帯動脈」が2本あります。単一臍帯動脈とは、この臍帯動脈が生まれつき1本しかない状態を指し、全妊娠の約1%にみられます。多くは妊娠中期の超音波検査で発見されます。

単一臍帯動脈と診断されても、他に異常所見がなければ、赤ちゃんの発育や妊娠経過に問題はなく、無事に出産を迎えるケースがほとんどです。しかし、心臓や腎臓、消化管などの形態異常や染色体異常を合併する可能性が通常より少し高まるとされています。そのため、診断された場合は、胎児ドックなどのより精密な超音波検査で他の臓器に異常がないかを詳しく調べ、妊娠期間を通じて慎重に経過を観察していくことになります。

トラブル名どのような状態か主な対応
さい帯巻絡さい帯が赤ちゃんの首や体に巻きついている状態。ほとんどは経過観察。分娩時は胎児心拍数モニタリングで慎重に監視。
さい帯下垂・前置赤ちゃんより先にさい帯が子宮口付近に下がってくる状態。緊急性が非常に高く、速やかな分娩(主に緊急帝王切開)が必要。
単一臍帯動脈2本あるはずの臍帯動脈が1本しかない状態。他の異常がなければ経過観察。精密超音波検査で合併症の有無を確認。

さい帯から採れる「さい帯血」という未来への贈り物

出産という奇跡の瞬間にだけ得られる、特別な贈り物が「さい帯血」です。さい帯(へその緒)と胎盤の中に流れているこの血液には、赤ちゃんの未来、そして家族の未来を守る大きな可能性が秘められています。ここでは、さい帯血が持つ価値と、その保管方法について詳しく解説します。

さい帯血とは?再生医療への活用

さい帯血とは、出産後にさい帯と胎盤に残る血液のことです。この血液の中には、「造血幹細胞」という非常に重要な細胞が豊富に含まれています。造血幹細胞は、私たちの血液成分(赤血球、白血球、血小板など)すべてを作り出す源となる細胞です。

この能力を活かし、さい帯血は白血病や再生不良性貧血といった血液の難病治療に用いられてきました。骨髄移植と同様に、患者さんにさい帯血を移植することで、健康な血液を作れるようにする「造血幹細胞移植」という治療法です。さい帯血は、赤ちゃん本人だけでなく、白血球の型(HLA型)が一致すれば、兄弟姉妹など家族の治療にも役立つ可能性があります。

さらに近年では、脳性麻痺や自閉症スペクトラム障害など、これまで根本的な治療が難しかった病気に対する再生医療・細胞治療への応用研究も世界中で進んでおり、その可能性はますます広がっています。

さい帯血バンクの種類 公的バンクと民間バンクの違い

採取したさい帯血を将来のために保管しておく施設を「さい帯血バンク」と呼びます。さい帯血バンクには、目的や費用の異なる「公的バンク」と「民間バンク」の2種類が存在します。どちらを選ぶかは、ご家庭の方針によって決めることが大切です。

それぞれの特徴を下の表で比較してみましょう。

公的さい帯血バンク民間さい帯血バンク
目的第三者の患者さんの治療のために「寄付」する赤ちゃん本人や家族の将来の病気に備えて「保管」する
所有権バンクに帰属(寄付後は誰に使われるか分からない)契約者(親)に帰属(本人や家族のために使用できる)
費用無料有料(申込金や保管料などが必要)
利用原則として本人や家族のためには使えない必要なときにいつでも利用できる

このように、公的バンクは「社会貢献のための善意の寄付」、民間バンクは「わが子と家族の未来への備え」という、全く異なる役割を持っています。どちらが良いということではなく、それぞれの目的を理解した上で選択することが重要です。

民間バンクなら「ステムセル研究所」での保管も選択肢に

もし、赤ちゃん本人やご家族の将来のためにさい帯血の保管を検討する場合は、民間バンクを選ぶことになります。日本国内にはいくつかの民間バンクがありますが、その中でも国内シェアNo.1の実績を持つのが「ステムセル研究所」です。

ステムセル研究所は、全国の約99%の分娩施設と提携しており、多くのご家庭でさい帯血保管の実績があります。高品質な細胞分離技術と、徹底した品質管理体制のもとで大切なさい帯血を長期にわたって保管できるのが特徴です。また、さい帯血の再生医療分野での活用に向けた研究開発にも積極的に取り組んでいます。

出産時にしか採取できない貴重なさい帯血を保管しておくことは、将来の医療技術の進歩を見据えた「未来への保険」という選択肢になります。資料請求などを通じて情報を集め、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

この記事では、赤ちゃんの命綱である「さい帯」について、妊娠中の役割から出産後のケア、そして「さい帯血」の可能性までを網羅的に解説しました。さい帯は、ママのお腹の中で赤ちゃんに酸素と栄養を届け、老廃物を排出するという、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。

出産後は「へその緒」となり、正しい消毒と乾燥ケアを行うことで感染症などのトラブルを防ぐことができます。また、さい帯巻絡などのリスクも存在しますが、定期的な妊婦健診で早期発見に努めることが大切です。不安な点はかかりつけ医に相談しましょう。

そして、さい帯から採取できる「さい帯血」は、白血病などの治療に役立つ再生医療の分野で注目されています。公的バンクへの寄付や、ステムセル研究所などの民間バンクでの保管は、わが子の未来への備えとなる「お守り」のような選択肢です。さい帯に関する正しい知識を持つことが、安心して出産・育児に臨むための第一歩となります。

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株式会社ステムセル研究所

詳細情報

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目21−19 東急虎ノ門ビル 2階

URL:https://stemcell.co.jp/

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